プロフィール

Nobuyuki Takezawa

Author:Nobuyuki Takezawa
電子書籍のトビラへようこそ!

当ブログでは、私の発行済みの電子書籍を紹介をしております。また、楽しんで頂けるようエンターテインメントブログを目指しています。ごゆっくりお楽しみ下さい。

※プレビュー画像はかなり美化しております。こんなに若くありませんしm(_ _)m でも、カラオケ好きなのでマイクを持たせました※

タグロゴ

カテゴリ

最新記事

CMエリア②

最新コメント

月別アーカイブ

FC2掲示板

ブロとも申請フォーム

RSS

CODE

【2048/06/10/DD】 吉岡梨花 ?

 生ビールは美味い。特に今日は蒸し暑く、冷えたビールをあおると強烈に美味い。

 「ぷはー!」

 俺は居酒屋で一人生中を堪能していた。昼間は建築現場で肉体労働に従事しているからしこたま汗をかいているし。男の人生の意味は身体を使って働いて、生ビールを飲む事だと心底思う。

 ビールの肴に枝豆と焼き鳥を注文しようとした時、店内の照明が一旦消え、すぐに元に戻った。俺は嫌な予感がしたが、無視して女性の店員を呼んだ。

 「最近よくありますねえ」

 と女性の店員が言った。『そうだね』と言おうとしてその女性の店員の顔を見て仰天した。

 「よよ、吉岡3等陸佐! 何やってんですか!」

 「しっ! 声が大きいわよ」

 「はあ…。で、こんな所で何を?」

 「アルバイト」

 「非常勤になったんですか?」

 「立場が」

 「ひょっとして、俺の監視っすか?」

 「担当しているのは六人よ」

 「と言う事は…、部下は最低でも十八人ですね」

 「んー、後方通信とか技術屋さんがもう三人」

 「一個中隊も…」

 「理由は訊かないでね」

 と吉岡3等陸佐、アメリカの階級では少佐となる、が言った。彼女は30年前に起こったグレースケミカル事件の際に、潜入捜査を行い、塩の柱のような光の中から『結晶』を持ち帰った伝説の人だ。その功績を讃えられ、表には出ない『特殊捜査部』の部長に昇進した。

 4年前、陸自の戦車中隊に所属していた俺をスカウトしたのが吉岡3等陸佐だ。なんでも『適性がある』とかの理由だった。今思えば、知っていれば絶対に断っていたと思う。

 それにしても30年前に28歳だったから、今は58歳だ。が、その美貌、容姿はもとより、サバイバル能力、戦闘力等々、とても58歳とは思えない。あだ名、いやニックネームは『不死身のリカちゃん』である。直接言うと殺されるという噂もある。

 結晶は『マリアの贈り物』という別名がある。何故こう呼ばれるのか、過去3回の任務でその謎は解けた。『夢洩れ』通称ナイトメア現象は本人の宗教観が強く影響する。多分、マリアという名の少女はキリスト教徒であり、グレースケミカル事件で彼女の観念が具現化したものなのだろう。吉岡3等陸佐はその影響下にあり、何らかの生体特性を得たのではないだろうか。俺のような下っ端は知る由もないが。

 その吉岡3等陸佐が俺を含めて六人も監視している。しかも直接接触してきた…。一瞬、逃げだそうかな、と思った。

 携帯が鳴った。俺は携帯を取り出した。

 『CODE DD EMERGENCY 14 2』

 と機械的な声が聞こえ、すぐに切れた。

 「吉岡3陸佐、コー」

 まで言ったら吉岡さんに手で口を塞がれた。なんか嬉しい。

 「梨花ちゃん、って呼んで」

 「はあ?」

 「呼びなさい」

 「了解! 梨花ちゃん」

 「なーに?」

 吉岡3等陸佐は、もとい、梨花ちゃんはニコニコしている。変な人だ。

 「コードDDが発令されました。14の2です」

 と俺。次第に緊張しているのを自覚した。

 「14の2って、女の子だったわね。行くわよ」

 「了解! あ、でも俺、ビール飲んでます」

 「夢電所に着いたら水を5リットル飲みなさい」

 と梨花ちゃんは言い、着替える為に厨房に入った。…水を5リットルって、死ぬかも知れない分量だ。死なないとは思うが。その前にギブアップしよう。

 夢電所とは、人間の潜在意識から直接電気エネルギーを採取して、一般家庭や工場で使えるようにする所だ。特に夢を見ている時が効率が上がるそうだ。

 これもグレースケミカル事件で発覚した、と言うより『夢洩れ』現象を究明して得られた技術だ。そして世界のエネルギー情勢がてんてこ舞いとなった。既に火力、水力発電所は無くなり、原子力発電所は地中深くに埋められてしまった。事実上、世界の電力は夢電所で得られている。

 完全無公害で無尽蔵のエネルギー源なのだが、人間の深層意識から電力を得る為には『人間そのもの』が必要となる。夢電所が稼働する際に人権問題とされたが、人類の存亡の前には人権など吹き飛んだらしい。現在は、トラウマや各宗教と無関係な8歳から10歳の子供が選ばれ、4年間眠りに就かされ電力供給を行う。勿論、役目を終えたら一生困らない額の金銭と境遇が与えられる。

 CODE:DDとは、『ドリーム・ダイバー』の出動要請の事だ。

 世間的には、夢電所で事故は一切起こっていないと説明されている。しかし、電力供給源が如何に無垢で純真な子供であっても夢洩れは起こる。30年前のグレースケミカル事件では、時空のループ現象まで発生したらしい。

 俺の仕事は、夢漏れを起こして現実を変容させている子供の夢に潜り、目覚めさせる事だ。

 「行くわよ、木場ちゃん」

 とライダースーツを着て、厨房から出て来た梨花ちゃんが言った。なんともセクシーでカッコいい。

 「了解!」

 俺は立ち上がって言った。そう、俺はドリーム・ダイバー、木場夏夫だ。



終わり ご愛読ありがとうございます。

にほんブログ村 小説ブログへ
にほんブログ村

にほんブログ村 小説ブログ 小説家へ
にほんブログ村

にほんブログ村 小説ブログ SF小説へ
にほんブログ村
関連記事
このエントリーのタグ: 武澤信幸 連載小説 SF小説
トラックバック
トラックバック送信先 :
コメント
▼このエントリーにコメントを残す