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Nobuyuki Takezawa

Author:Nobuyuki Takezawa
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※プレビュー画像はかなり美化しております。こんなに若くありませんしm(_ _)m でも、カラオケ好きなのでマイクを持たせました※

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【DD12】

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【DD12】 木場誠二 田中真治 アラン・ギア

 木場と田中はエレベーターを使い、地下一階の通路を進んでいた。木場は対ゾンビ、ヒドゥン用にP90を装備し、残りは田中に持たせている。田中は右肩を負傷している為に走れず、ふうふうと息をしながら武器や小物が収まったバッグ手で提げてついてきた。

 大型リフト室のドアは閉まっていた。ドアロックがかかっているのかと思ったが、ドアの横に『リフト使用中につき閉鎖』と書かれたパネルが点灯している。

 ドーン、ガシッ、という音がドアの向こうから聞こえる。リフトが稼動している動力音もしている。木場はきびすを返した。

 「ちょっとー! 待って下さいよー!」

 地下ガレージのリフトに向かっている最中に田中が叫んだ。木場はリフトの昇降ボタンを押して田中を待った。

 リフトで地上のガレージに昇ったところで、木場は田中からグレネードガンを出させた。田中は顔色を変えたが、自分もスパスを持った。

 「君は離れた場所で待機していてくれ」

 と木場。

 「でも、援護は必要でしよ?」

 「俺に当たる」

 「そうですね」

 田中はあっさり納得した。左手一本で的確な射撃など出来るものではない。ましてや散弾での後方支援は危険過ぎる。

 木場はガレージを出た。P90を構え、グレネードガンは左の脇で挟むようにしている。

 グレネードガンには通常の作裂弾を装填済みだ。ズボンの右ポケットには対生物兵器弾を入れてある。

 「おお?」

 木場は芝生の地面が割れ、そこから光が出ているのを見て立ち止まった。長さは20メートルを越えている。幅は3メートルぐらいだ。ヒューンというタービンが回るような音もしている。その端に立って中を覗こうとしたら地面の割れ目が更に開いた。

 芝生と土が割れ目の中にドサドサと落ちて行く。そして幅が20メートルぐらいになった時、下から戦闘ヘリが迫り出してきた。

 ヘリの操縦席には軍服を着た男の姿があり、操縦装置類をいじっている。木場は『マジンゴーってか…』と呟き、ヘリに近付いた。

 リフトの床面は地面から下、約1メートルぐらいの位置で停止した。インパルスガンが収まっている緊急火災ボックスの一部が引っかかっている。つまり、この大型リフトは一度も使った事がなくて、今欠陥が明らかになったわけだ。

 「おう! キバ!」

 とヘリの向こうテイルローターの横で、背広姿の男が手を挙げて叫んだ。

 「ギアか?」

 木場はP90で狙いをつけて言った。

 「ご挨拶だな。それ、下ろしてくれないか?」

 ギアはにこやかに言った。結構無理して笑っているな、と木場は思った。

 「まさか飛べるとは思ってなかったぜ」

 と木場。用心深く距離を詰める。ギアは木場の素振りを見て肩をすくめた。

 「私もだよ。ここの連中は用意がいい」

 「そいつで逃げるのか?」

 「そのつもりだが、あいにく二人乗りでね。連れて行くわけにはいかない」

 「別にいい。レーザーナイフで金網を切って逃げるさ」

 「お。それはいいアイデアだ。感電しないように」

 「どうも」

 と木場が言った時、ヘリがガクンと揺れた。ギアはよろめき、芝生の方へ数歩移動した。

 「うおっ!?」

 木場が叫んだ。リフトの床面の鉄板が一枚、ドーンと音を立てて宙に飛んだ。続いて二枚、三枚と跳ね上がった。

 「この下に居るのはなんだ?!」

 木場は、苦々しい顔をしてパイソンを構えたギアに訊いた。

 「ヒグマの化け物だよ」

 「ヒグマ? タイフーンか?」

 「よく調べたな」

 ギアはヘリの操縦席の男を見て答えた。ヘリの羽、ブレードがゆっくりと回転を始めている。

 「倒してから行って欲しいんだが?」

 と木場はグレネードガンを提示して言った。

 「それは効かない」

 「戦ったのか?」

 「まあね」

 とギアが言った時、リフトの床の剥がれた鉄板の間から、タイフーンが姿を現した。木場はその姿に仰天した。戦闘生物、という存在があるのならタイフーンはまさしくそれだ。

 ヘリのブレードの回転速度が速くなった。テイルローターも回り出した。ギアの部下らしい操縦席の男が『ボス!』とこっちを向いて叫んだ。

 ギアは動かなかった。と言うより、動けなかったのだ。

 タイフーンがヘリに突進した。操縦席の男が『ひいい!』と悲鳴を上げたように見えた。

 ヘリが横倒しになった。ブレードは折れ曲がり、テイルローターが外れて竹トンボのように飛んだ。

 ギアの部下が操縦席から這い出ようとした。木場は助けようと一歩前に出たが手遅れだった。

 タイフーンの背中から伸びている触手が操縦席の風防ガラスを突き破った。そしてギアの部下の身体を貫き、操縦席から引きずり出した。

 「がああああ!」

 男が口から血を吹きながら叫んだ。タイフーンは何本もの触手でギアの部下の身体を空中に持ち上げ、そしてバラバラにしてしまった。

 タイフーンは昆虫のような目でさっきまで人間だった肉の塊を見ている。そして、首を軽く振り、巨大な体をブルつと揺すった。木場はヤツが笑ったと思った。

 「ちっ!」

 木場はグレネードガンを構え、撃った。しかし、砲弾はタイフーンには命中する直前、触手にふれて爆発した。

 それを見たギアがパイソンを撃った。マグナム弾がタイフーンの肩口に命中したが、ヤツは反応さえしなかった。

 「逃げた方がいい!」

 ギアがそう言い、宿舎に向かって走ろうとした。木場はズボンのポケットから対生物兵器弾を取り出し、グレネードガンに装填した。

 引き金を引く。タイフーンが着弾点に触手を伸ばす。対生物兵器弾が爆発し、緑色のガスが一気に広かった。
 
 「ぐおおおおおっ!」
 
 タイフーンが後ろ足で立ち上がって叫んだ。効いている。ヤツは苦しがっている。

 木場はP90でタイフーンの顔面を狙った。頭も目も装甲板のように固く、弾丸が弾き返される。が、鼻先は柔らかく弾丸が貫通した。耳の後ろも同じだ。ヤツには弱点がある。

 「どわっ!」

 木場は仰け反った。タイフーンの触手が伸び、木場の足元の土を巻き上げた。対生物兵器弾で苦しめ、鼻面を攻撃した結果、ヤツは怒ったようだ。

 タイフーンが唸りを上げて突進してきた。普通のクマでさえ突進してきたら足がすくむ。なのに今、肉をブルブルと振るわせて来るのは体長六メートルを越える化け物、いや怪獣だ。しかも、もう手持ちの武器ではどうしようもない。

 パイソンの発射音がした。タイフーンが木場の直前で頭を振って停正した。耳から血が出ている。

 「キバ、借りは返したぞ!」

 パイソンを構えたギアが言った。今しか考える時間はない。タイフーンを倒さない限り誰一人として生き残れない。

 考えろ。ヤツはどうやったら倒れる? グレネードは効かない。パイソンでもP90でも致命傷は与えられない。強い武器が要る。

 「おっ!?」

 木場は炎上しようとしているヘリの前にガトリングガンがあるのを見つけた。

 「ギア! アレは使えるのか?!」

 「アレ? ガトリングガンか?」

 「そうだ!」

 「調べてみないと分からん! 使えたとしても台座に固定されているぞ!」

 「任せろ!」

 木場はP90を乱射して走り出した。ギアは呆然としたが、木場の行く先を確認して自分もパイソンを撃ち、ガトリングに向かった。

 タイフーンが、恐らく数メートルに接近した時点で二人ともやられてしまうだろう。木場は自分に注意を向けさせる為にまたP90を撃とうとしたが弾切れだった。

 でも幸いな事に、タイフーンは木場を狙ってきた。木場はリフトに備え付けられた緊急火災ボックスの赤いボタンを押した。

 ビービービーと警報が轟き、ポンプが作動する音が聞こえた。インパルスガンに水と圧縮空気が送り込まれている。満タンになるまで何秒かかるのか、木場は生きた心地がしなかった。

 振り返ると、タイフーンがギアに近付いていた。ギアはガトリングガンをいじっている。ガトリングガンは電動式だ。どうやらコードを直結しないと動かないみたいだ。

 「ごわっ!」

 ギアが叫んだ。タイフーンの触手の一本がギアの太股に刺さったのだ。

 ギアはそれでも逃げなかった。タイフーンを睨み付け、作業を続けている。でもやられるのは時間の問題だ。

 ピルル、と電子音がした。見るとインパルスガンが満タンになった事を示す青いランプが灯っている。木場は緊急火災ボックスの取っ手を引き、インパルスガンを取り出して夕イフーンに向かった。

 「こっちだ!」

 木場はタイフーンの背後に回り込みながら叫んだ。だが、タイフーンは木場を見ない。

 インパルスガンを構えて引き金を引く。圧縮された空気と水がものすごい勢いで噴出し、木場は後ろに倒れそうになった。

 水を浴びせられたタイフーンは触手を縮め、ブルルと身震いした。そして木場に向き直った。

 接近してくるまで撃ってはいけない。そうだ、もうちょっとだ。後2メートルこっちに来い。

 木場はタイフーンが突進する直前、顔面に狙いを付けて引き金を引いた。タイフーンは面食らったように驚き、水を避けようと身体を横に向けた。

 ギアが手を振った。何の意味だ? 右へ行け、と指示しているようだ。とすれば、ガトリングガンは発射可能なのだ。木場はそう受け取り、移動した。

 タイフーンが狂ったように触手をバタつかせ、身体を揺すり、木場を睨み付けた。こいつのファイルに『狂犬病に似た症状』云々と書かれていたのを思い出して正解だった。夕イフーンは明らかに水を嫌がっている。

 ギアが手を振っている。また右へ行くように指示しているようだ。木場が移動しようとした時、ギアの『違う! お前じゃない!』という声が聞こえた。

 ガトリングガンの銃口が自分の方に向いているのが見えた。木場はタイフーンに背を向け、走った。

 タイフーンは木場の逃亡に気付き、後を追おうとした。木場は振り向き、インパルスガンを撃ってタイフーンの足を止めた。

 その瞬間、ガトリングガンの発射音がした。六連の銃身は分速六千回転で回り、万年筆ぐらいの大きさのフルメタル弾を吐き出す。タイフーンの触手は飛び散り、腕はもげて背中の皮がめくり上がった。

 長く感じたが、ガトリングガンの射撃時間は三、四秒だろう。でもそれで十分だった。ガトリングガンは高性能戦車の装甲をもズタボロの段ボール箱のようにしてしまう兵器だ。タイフーンが幾ら強力な生物兵器だとしても所詮は蛋白質とカルシウムの塊だ。直撃を受ければひとたまりもない。

 タイフーンは肉と毛で出来た小山のようになっていた。その全体から湯気が昇っている。

 頭部はそのままだが、胴体は上と下に泣き別れ状態だ。木場はホッとして、タイフーンだったものに近付いた。

 「まだだ!」

 ギアがパイソンを構えて叫んだ。木場は反射的に飛び退いた。

 肉が動いていた。血管の一本一本がミミズのように這いずり、ちぎれた組織片同士を繋ごうとしていた。

 「田中!」

 木場は叫んだ。するとガレージに隠れていた田中がヨタヨタとやってきた。

 「グレネード弾を!」

 と木場が手を出して言った。

 「は、はい!」

 田中はバッグから残りのグレネード弾を全部取り出した。木場は一発だけ受け取り、グレネードガンに装填した。

 「くたばれ!」

 木場はグレネードガンでタイフーンの頭部を狙い、引き金を引いた。既に触手による防御も出来ず、タイフーンの頭部は粉々になった。

 「や、やった!」

 田中が言った。蠢いていた血管や組織片がしんなりしている。木場はそれらの肉を踏みにじってみた。もう動かない。

 「みたいだな…」

 と木場は言い、ガトリングガンを抱えるようにベッタリと腰を降ろしているギアに歩み寄った。

 「大丈夫か?」

 木場はギアに手を差し出して言った。

 「足をやられた…」

 ギアは木場の手を借りて立ち上がった。左の太股から血が流れている。

 「田中君、止血をしてやってくれ」

 木場は田中にそう言い、田中はバッグから消毒液とタオルを取り出した。

 「君は?」

 とギアが田中に訊いた。

 「田中真治です。ここで警備員をしています、いや、していました」

 田中は拙い英語で答えた。

 「ほう。生き延びていたのが居たのか。運がいいな」

 「どうも」

 田中はギアの足を診ようとしたが、ギアは田中の手を軽く押さえた。

 「なんです?」

 と訝しげに田中が訊く。

 「手当はいい」

 「でも」

 「時間がない」

 ギアは腕時計を見て言った。

 「どういう事だ?」

 と木場。

 「地下八階の液体水素貯蔵庫に時限爆弾を仕掛けた」

 「なにぃ?!」

 「後、十分と二十一秒だ。そこで提案がある。レーザーナイフで金網で切断して逃げようではないか。私も一つ持っているし、そちらの田中君も持っているようだね。二つあれば時間内には」

 「ちくしょう…」

 木場はそう呟き、田中が持っているバッグをひったくった。びっくりしている田中に、木場はP90のマガジンを交換しながら口を開いた。

 「今村夏美という女の子がまだ下に居る」

 「あ! そうでしたね」

 田中は木場から聞いた話を思い出して言った。

 「ギア、どうすれば時限爆弾を解除出来る?」

 「六点あるネジを外し、カバーを開けて、まず緑色のコードを抜く。次に青いコードを抜いて緑のコードと連結する。最後に赤いコードを切る。もう一度言おうか?」

 「あんたも連れて行きたいところだが、その足では無理だな。…それ、本当だろうな?」

 木場はギアを睨んで言った。ギアの立場ならばこの施設は消滅する方がいいはずだ。それに証人も消えればもっと良い。

 「疑うのは自由だ。だが、残り十分を切っているこの状態では私も爆発範囲から逃れられないかも知れない」

 ギアの言葉の真偽は確かめようがない。でも木場は既に決心していた。死んだら絶対化けて出てやる、とも誓う。

 「爆弾は何個だ?」

 「全部で五つだ。貯蔵庫の四隅と真ん中にある」

 とギアは言い、背広のポケットからプラスの小型ドライバーを取り出して木場に渡した。

 木場は田中からスパスと散弾を受け取り、走った。ギアも田中も無言で木場を見送った。

 彼らと一緒に脱出すれば自分は助かる。そうしたい気持ちが湧いてきて、足を止めようとするが、逃げたら一生後悔する事も分かっている。

 いや、俺は後悔した事があるから逃げないんだ、と思った。でもどんな事で後悔したのかは思い出せなかった。



続く
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