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Nobuyuki Takezawa

Author:Nobuyuki Takezawa
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ヌコ星人の侵略 41~50

ヌコ星人の侵略

【41】~【50】 副題 モラトリアム

《登場人物》

・西岡時司(にしおか ときじ)主人公。男性。32歳。

・西岡碧(にしおか みどり)時司の奥さん。女性。30歳。

・花井彦兵衛(はない ひこべえ)ヌコ星人。男性。35歳。

・花井美弥子(はない みやこ)ヌコ星人。女性。彦兵衛の妻。33歳。

・花井健一(はない けんいち)ヌコ星人。男性。10歳。

・花井英子(はない えいこ)ヌコ星人。女性。8歳。

・桜田史郎(さくらだ しろう)人間。総理大臣。62歳。

・佐山貴之(さやま たかゆき)人間。科学者。西岡の部下。29歳。

・吉方ハリマオ(よしかた はりまお)ヌコ星人。ヌコ星人の代表。54歳。

・平松貞夫(ひらまつ さだお)官房長官。60歳。

・伊島宏(いじま ひろし)自衛隊統合幕僚長。55歳。

・仁科明人(にしな あきひと)広域テレパス能力者。37歳。お気楽ホットドッグチェーンの社長。

・山本健太(やまもと けんた)錯覚能力者。35歳。大工さん。

・ひょん太(ひょんた)テレポーター猫。人語を理解している。スコティッシュ・フォールド。雄。

・ミルキー(みるきー)近距離テレパス能力と『人を好きになる波動』を出す能力がある猫。アビシニアン。雄。



【ヌコ星人の侵略41】

 『ヌコ星人の吉方さんに会談を申し込んだ。10日後に迎えに来てくれる。君達を随伴員として登録した』と桜田さんから電話連絡があった。

 10日後…。ヌコ星人の母艦に行くには小型の宇宙船でも数分しか必要無い。実際の移動は秒単位だ。ヌコ星人側で何か準備があるのだろう。10日も掛けてやる何かが。

 「にぎゃー!」

 夕食前、リビングで考え事をしていた俺の隣でテレビを観ていた彦兵衛さんが叫んだ。目をカッと見開き、口から泡を吹いている。

 「どどど、どうしたんですか!?」

 と俺。

 「ミミミミミ!」

 「みみ?」

 「ミント菓子にゃー!」

 「ど、毒なんですか?」

 「強烈刺激冷感美味突き抜けー! にゃー!」

 彦兵衛さんは歓喜の表情を浮かべて言った。ミント菓子の小さな箱を握っている。そして一粒食べては『にぎゃー!』と叫ぶ。一週間、家族揃って『うまいにゃー!』と絶叫しながらマグロを食べ続けていた時よりもマシではある。…少し羨ましくなった。



【ヌコ星人の侵略42】

 桜田さんの随伴員は俺と仁科だけだと思ったら、ひょん太とミルキーも是非来て欲しいと要請があった。これは桜田さんが吉方さんとビデオ通話している時に二匹を可愛がっている様子を見せたからである。吉方さんはとても気に入り、特別随伴員として連れて来て欲しいと言ったそうだ。作戦成功である。

 殆どのヌコ星人はネコが好きだ。世界各国の保健所に収容されている野良猫を一匹残らず引き取り、母艦に『猫街』を作って保護する熱の入れようである。犬も同じように『犬街』を作って面倒をみている。

 ヌコ星人はどんな猫でも好きらしいのだが『相性』もあるそうだ。吉方さんは『ひょん太とミルキーは別格』と言ったらしい。ひょん太の品種はスコティッシュ・フォールド、ミルキーはアビシニアンだ。血統に惹かれるのかと思ったらそうではないらしい。『とにかく可愛い』と吉方さんは言ったとか。しかし、この二匹が特別だと感じているとしたら色々とヤバいかも知れない。



【ヌコ星人の侵略43】

 朗報もある。仁科の友人の山本健太が参加してくれる事になった。彼は錯覚能力者だ。ヌコ星人に効果があるかどうかは実験済みである。

 錯覚の持続時間は約二週間だ。それだけ錯覚が持続するなら十分だ。効果範囲や人数は限定されていて、範囲は20メートルから30メートル。一度に錯覚させられる人数は多くて10人程度だ。

 山本の参加は強力な援軍となるが、予め作戦が立てられないので現場で指示するしかない。しかし、錯覚能力を使えば世界征服も可能だ。が、山本は自分の仕事にしか興味が無く、錯覚能力も滅多に使わないらしい。

 「こんこん。入るにゃー」

 と俺の自室のドアを開けて、彦兵衛さんと子供達がやって来た。俺はパソコンでヌコ星人が配布した、超巨大母艦の階層図を見ていた。

 「おじさん! ゴロゴロしてー!」

 と健一君と英子ちゃんが俺に登って言った。俺は二人を引っぺがしてソファに座らせ、顎の下を撫でた。二人は『ゴロゴロゴロ』と喉を鳴らした。可愛いなあ…。



【ヌコ星人の侵略44】
 
 仕事から帰ったら、と言っても公表されているヌコ星人関係の資料をまとめるだけの事務仕事だが、彦兵衛さんが出迎えてくれた。

 「ボクも随伴員に選ばれたにゃ」

 今日は背広姿の彦兵衛さんが言った。なかなか似合っている。

 「へー」

 と俺。

 「つ、冷たい反応にゃ…」

 「だって、私を監視しているわけだし、密着して反応を調べるんでしょ? 上申したんですか?」

 「うんにゃ。吉方さんから直接連絡があったにゃ」

 俺は、ヌコ星人はかなり慎重に物事を進めるのだと知った。桜田さんは『見学申請』をしただけなのに、ヌコ代表の吉方さんは『日ヌコ首脳会談』にしてしまった。と言ってもヌコ星人の要望を聞き、こちらの要求を話す。後は事務方が明文化するだけだ。

 その後はパーティになるらしい。ヌコ星人にとって地球の全てが刺激的だ。カレーライスを食べて絶叫したり、天然マグロを食べて絶叫したり、ジャズを流して踊りまくったりするそうだ。…普段、どういう生活をしてるんだろう?



【ヌコ星人の侵略45】

 俺は母艦に行くまでの間、休暇をとって彦兵衛さん一家を観察をする事にした。と言っても、大体の事は分かっている。ヌコ星人にとって地球人、地球人の文明、その他諸々が非常に刺激的で驚き叫び喜ぶ。何故か?

 「それはだにゃ、宇宙船の中の資源は限られているから予定通りに仕事や勉強をするのにゃ」

 と彦兵衛さん。

 「でも休養も必要でしょ? そこから文化が発展して」

 「そこが人間と違うのにゃ。働く、食べる、寝る。ヌコにはこのパターンしかないにゃ」

 「え? マジで?」

 「精神的ストレスはトランスレーターで疑似体験して解消するにゃ。身体は休養カプセルの中で疲労を取って、病気も治すにゃ」

 「食事は?」

 「栄養マテリアルを食べるにゃ」

 「それって、もしかして、完全栄養食?」

 「そうにゃ。肉とトマトとご飯を合わせたような感じにゃ」

 「味は?」

 「ある程度変えられるにゃ。でも刺激物はストレスになるからダメなのにゃ」

 彦兵衛さんは悲しそうな顔で言った。



【ヌコ星人の侵略46】

 科学が高度に発達するとヌコ星人のような社会構造のようになるとは予測していた。特に長期に亘る宇宙船の中での生活となると、管理に不備があると重大な問題に発展する恐れがある。

 ヌコ星人は母艦の中での生活を殆ど公表していない。『完全管理の日常』は地球人に嫌悪感を抱かせる、と判断したのだろう。彦兵衛さんが口にしたと言う事は、いずれ公表される予定なのだろう。

 地球を発見し、その多様な文化を知るとヌコ星人は歓喜した。母艦での管理生活から解放され、刺激たっぶりの生活が出来るのだ。しかも、何をしても個人用シールドやスキャン技術で危険を全て排除出来る。

 「面白い提案があるんですが?」

 俺は、リビングのテレビで吸血鬼の映画を観ている彦兵衛さんと、彼の一家に言った。さすがにテレビにも慣れたみたいで絶叫はしなくなったけど、心底怖がっているのは顔を見れば分かる。

 「なんにゃ?」

 「凄い刺激、欲しくないですか?」

 「それはなんにゃ?」

 「それはですね…」



【ヌコ星人の侵略47】

 「シールドを取れ、とかだったら無理にゃ。トランスレーターと連動してるにゃ」

 彦兵衛さんはニヤッと笑った顔で言った。…ちくしょう。見透かされていたか。シールドが無ければ命の保証も無くなる。ヌコ星人にとってそれは最大の刺激だと考えたのだが。

 「違いますよ。奥さんの美弥子さんが必要なんです」

 俺は咄嗟に閃いた事を言った。

 「二人で何かするのかにゃ?」

 「まあ大した事ではありせん」

 「ふむ」

 彦兵衛さんはテレビを観ていた美弥子さんを、俺の隣に移動させた。美弥子さんは、人間から見てもとても美しい。真っ白な体毛、大きな色っぽい目、青い瞳、ピンク色の唇…。

 いかんいかん。見とれている場合では無い。俺は美弥子さんの顎の下を撫でた。すると美弥子さんはゴロゴロと喉を鳴らした。そして彼女はうっとりした顔になった。

 彦兵衛さんを見る。最初はポカンとしていたけど、次第に目を見開き、震え出した。やはり完全管理社会に『浮気』は無いようだ。



【ヌコ星人の侵略48】

 「や、やめるにゃ」

 「どうして?」

 「変な気持ちにゃ」

 「凄い刺激でしょ?」

 「それはそうにゃが…」

 俺は更に美弥子さんの顎を撫で、首筋も撫でた。美弥子さんは『みゃお…』と悩ましげな声を出した。

 「あなたっ!」

 と碧の声がして、俺はきらめく星を見た。碧が俺の頭を拳骨で殴ったのだ。

 「いてーっ!」

 と俺。

 「いたーっ!」

 と碧。そりゃ拳骨より頭の方が固いから痛いだろう。俺の頭もかなり痛いけど。

 「ほほほ、本物の暴力にゃ!」

 と彦兵衛さん。子供達も驚いている。美弥子さんは我に返ったようで恥ずかしそうにしている。健一君と花子ちゃんはポカンとこちらを見ている。

 「ね? 刺激的だったでしょ?」

 俺は涙を流しながら言った。

 「あなた! ナニ考えてんの!」

 と碧。

 「いやあ、今までに無い刺激を彦兵衛さんに…」

 「しなくていいです、そんな事は!」

 「はい、もうしません」

 俺は痛む頭を下げて言った。…なんか、変な空気になってしまった。



【ヌコ星人の侵略49】

 翌日の朝、俺は一人リビングでタブレット新聞を読んでいた。桜田さんと吉方ハリマオさんの日ヌコ首脳会談が報じられていた。

 国家主権について言及している記事は皆無だ。反ヌコや、ヌコ警戒の記事も無い。政府は報道規制していないから、マスコミや国民は今度の首脳会談で、ヌコ星人と日本人が更に緊密になるだろう、とそんなのばかりだ。

 ヌコ星人に浮気の文化は無い。人間にはある。文化と言ってよいのかどうか分からないが。

 人が浮気するのは様々な理由があると思うけど『破滅の予感』の誘惑のせいかも知れない。そこにはリビドーとタナトスがあり、人は無意識に惹き寄せられるのだろう。

 「あなた! ゴミ捨てて来て!」

 とキッチンから碧の声がした。あれからずっと怒っている。美弥子さんは宇宙船に戻ったまま帰って来ない。彦兵衛さんは悲しそうな目で俺を見る。健一君も花子ちゃんも俺に近付かない。

 「分かった」

 俺はゴミ袋を持ってマンションのエレベーターに乗った。でも不思議と気分はいい。



【ヌコ星人の侵略50】

 夕食は皆揃って中華レストランに行く事にした。道中、ギクシャクするかと思ったら、碧と美弥子さんは楽しそうにしている。健一君も花子ちゃんも俺によじ登っては彦兵衛さんに引っ剥がされたりして、遊びながら歩いていた。

 「あの刺激には慣れましたか?」

 と俺はカンフー道着姿の彦兵衛さんに言った。

 「…多分、慣れないにゃ」

 「トランスレーターで心理ストレスは治るのでは?」

 「もともとウワキーという項目が無かったせいで、対処に時間が掛かっているにゃ」

 「ウワキーではなく、浮気です。じゃあ、またあの刺激を体験出来るわけですね」

 「も、もう止めて欲しいにゃ! やっと変な雰囲気から抜けたにゃ」

 実は、中華レストランに行く前に俺は『ヌコって、ここを撫でると気持ち良くなるんだよ』と健一君と花子ちゃんに説明し、美弥子さんには謝り、碧には土下座した。それで彦兵衛さん以外は落ち着いたようだ。

 超科学と圧倒的武力を誇る宇宙人にも弱点はあったわけだ。けけ。



続く

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