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Nobuyuki Takezawa

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ヌコ星人の侵略 21~30

ヌコ星人の侵略

【21】~【30】副題・西岡時司の仕事

登場人物

《登場人物》

・西岡時司(にしおか ときじ)主人公。男性。32歳。

・西岡碧(にしおか みどり)時司の奥さん。女性。30歳。

・花井彦兵衛(はない ひこべえ)ヌコ星人。男性。35歳。

・花井美弥子(はない みやこ)ヌコ星人。女性。彦兵衛の妻。33歳。

・花井健一(はない けんいち)ヌコ星人。男性。10歳。

・花井英子(はない えいこ)ヌコ星人。女性。8歳。

・桜田史郎(さくらだ しろう)人間。総理大臣。62歳。

・佐山貴之(さやま たかゆき)人間。西岡の部下。29歳。

・吉方ハリマオ(よしかた はりまお)ヌコ星人。ヌコ星人の代表。54歳。

・平松貞夫(ひらまつ さだお)官房長官。60歳。

・伊島宏(いじま ひろし)自衛隊統合幕僚長。55歳。



ヌコ星人の侵略【21】

 場所は首相官邸の地下70メートル。床面積は12×12の144平方メートル、高さ4メートルの箱状の部屋が俺の職場だ。壁はコンクリートと鉛と特殊合金で出来ていて、真上で核爆弾が爆発してもビクともしない設計だ。

 出入り口は、一つの壁に一つある。一つは首相官邸の地下室、一つは皇居、一つは自衛隊調査部、一つはAOT管理研究室と巨大地下倉庫と繋がっている。部屋には事務机が六つと、会議用テーブルと、ソファと、給湯設備とトイレがあるだけで、実に殺風景だ。

 「西岡部長、ヌコ星人のスキャンには引っ掛かってません」

 と部下の佐山貴之がコンピューターのモニターを見て言った。まだこの部屋には俺と佐山しかいない。ヌコ星人のスキャンがかわせるかどうかテストしなくては関係者が集合出来ないからだ。

 「AOTのお陰だな…」

 と俺。AOTとは『Alien Object Technology』の事だ。俺の仕事は異星人の技術の解明と実用化である。



ヌコ星人の侵略【22】

 「フィールドは成功か…。あれって弁当箱ぐらいの大きさだろ?」

 俺はインスタントコーヒーを作って、佐山の肩越しにパソコンのモニターを見た。この部屋を中心にした立体図形を、青い球状の膜が覆っている。これがあらゆるエネルギー波を吸収する『ステルス・フィールド』だ。

 「ええ。スイッチらしき窪みと、三つのつまみがあるだけです。…犠牲が多かったので、実用化出来て嬉しいです」

 佐山が顔を曇らせて言った。ステルス・フィールド自体は見えない。光も吸収するから、装置の窪みを押して稼働させた時、研究に携わっていた人達は真っ黒な球体が出現した、と思った。

 慌てた研究者の一人が装置を止めようとしてつまみに触れた。黒い球体は一瞬で大きくなった。そしてその場に居た者の半数が死んだ。人体に流れる電気エネルギーや、肉体の運動エネルギーがフィールドで遮られたのだ。

 でもどうにか装置を回収し、使用方法を突き止めた。お陰でヌコ星人のスキャンから逃れられているわけだ。



ヌコ星人の侵略【23】

 ステルス・フィールド発生装置はAOT管理研究室に設置してある。まず座標を設定して稼働させれば何の問題も無いと分かったのでこの機に使ったのだ。人体に影響の出ない『出入り口』の設置も可能だ。

 でも、材質はアルミとセラミックの中間的性質があり、動力源は不明、吸収したエネルギーをどう処理しているのかも不明、勿論原理も不明だ。俺の予測では異星人の宇宙船用だから、それ程広範囲には張れない。ただ、動力源が分からないからいつまで持つのかも分からない。この辺が不安だ。

 「ヌコ星人のスキャンに掛からなかったって、どうやって分かった?」

 俺は佐山に訊いた。

 「気象衛星に積んだ亜空間スキャナーで、地球からヌコ星人の母艦に送られる次元振動波を解析しました」

 「凄いな」

 「いえ、どんな形でもデータはデータです。油断してるんでしょうね、『亜空間技術なんて開発されてない』って前提で行動してますよ」

 「実際、開発してないしな」

 と俺達は笑った。


ヌコ星人の侵略【24】

 その時、首相官邸に通じる通路のドアが開いた。地下に降りるため、小型のエレベーターを使っているから官邸の地下室から歩いて数歩でここに来られる。

 「あ、桜田首相」

 と俺はドアから出て来た人物を見て言った。ダブルのスーツを着たダンディな人である。

 「えーっと、西岡君に佐山君か。この度はご苦労だった」

 「ある意味チャンスですね。向こうから来たわけですし」

 「ヌコは一緒に居ると楽しいな。ヌコ代表の吉方さんと酒飲み友達になった」

 「うちは花井さん一家がホームステイされてます。何にどう反応するかが分かれば問題無いですね」

 俺はゾンビ映画を3回観た事を思い出した。あれから一ヶ月、花井さん一家は人間の日常に驚きビックリの毎日を過ごしている。

 「早速会議だな。私はどう動けばい?」

 桜田首相はソファに座って言った。佐山がコーヒーを入れてテーブルに置いた。

 首相や政府関係者がヌコ星人の母艦に連れて行かれ、圧倒的科学力を見せつけられ、無条件降伏されられた。さぞや屈辱だったに違いない。



ヌコ星人の侵略【25】

 「ヌコによるスキャンでは『その人物の地位や影響力、何をしているか?』は分かっているようです」

 と俺。人間に対して生体は調べられても、行動は暫く観察するしか無い。

 「ヌコのスキャン原理は分かるか?」

 と桜田首相。俺は佐山を見た。

 「多分、クォーク照射タイプでしょう。地球に対して宇宙空間の二カ所から照射すれば、大抵のデータが採れます」

 「亜空間スキャナより性能が落ちるのでは?」

 「はい。地球に対してどの程度の情報が欲しいのか、それが問題なんですけど、電子データは全て拾われてますね。そこから日本政府関係者と、自衛隊調査部部長の西岡さんが調査対象になったようです」

 「彦兵衛さんが『Self-Defense Forces Secret Investigation Department』って言ってたなあ」

 「そりゃカマ掛けだ。あるのはこの『部屋』だけだ」

 「何か呼び名が要りますね」

 と俺。暫し三人で考える。そして『部屋でいいか』と口を揃えて言った。


 
ヌコ星人の侵略【26】

 「集まれたのはこれだけですか?」

 俺は桜田首相に訊いた。

 「官房長官の平松君は私の代理で飛び回っている。自衛隊統合幕僚長の伊島君はヌコの母艦でもてなされている。通信は不可能だ。他のメンバーも似たり寄ったりだ」

 「ここの部員も11名がヌコにホームステイされて身動きが取れないそうです」

 と佐山。

 「ヌコは『何かあるかも?』と政府高官と自衛隊幹部と、ここの関係者を探っていると考えていいと思います」

 俺は桜田首相に言った。

 「メンバーを限定して正解だったな。それとヌコに読心術の能力や技術が無いのも分かった」

 「桜田首相、これからどうします?」

 「呼び捨てでいい。我々は同志だ」

 「分かりました。桜田さん」

 「うむ。まずはAOT関係の情報が欲しい。私も知らない事が多い」

 ここのメンバーは、担当分野を中心に『部屋』の情報にはアクセス制限を設けている。俺は部長なので知識はある方だが…、この時はヌコ星人相手に何か出来るとは思って無かった。



ヌコ星人の侵略【27】

 「AOTとは過去に地球に来た異星人が残した技術を言います。最古のは一万二千年前で、場所はメキシコ湾です。残念ながら物証は球体磁石が一つだけです」

 「磁石が物証になるのかね?」

 「磁石の近くでは空間が歪みます。サッカーボールぐらいの大きさで、重さは2トンあります。しかも材質はただの鉄です。天然に作られた物質ではありません。それから約二千年置きに何らかの形で来ています」

 「それはヌコか?」

 「いいえ。使われている技術は似ていますが、違います。また技術を成した思考形態がまるで異なります」

 「具体的に言ってくれ」

 「ヌコはヒューマノイド、つまり炭素系人間型の異星人です。AOTの多くはヒューマノイドの思考では到達不能な技術が大半を占めます」

 「例えば?」

 「水を呼吸していた、エネルギー体、珪素系、アルミ骨格、高温流動体、とかですかね」

 「そんなのが二千年置きに地球に? 理由は?」

 「さあ?」

 俺は手の平を上に向けた。分かったらノーベル賞ものだ。貰えないけど。



ヌコ星人の侵略【28】

 「使えるAOTは『M』のだけか?」

 「殆どそうですね。モノがあるのはロズウェル事件の機体ですかね。でも半壊状態で、異星人も全員即死。技術解明は不可能。エリア51の地下倉庫行きになってます」

 「日米首脳会談の時、大統領にそれとなく訊いたら『信じてるんですか?』とバカにされた」

 「ま、余所の国の事は放っておきましょう。『M』、つまり長野県の皆神山の周囲に、五芒星の形に配置された『地下巨大異文明遺跡』にあったモノが結構使えます。ステルス・フィールドもここからのものです」

 「大体二千年前に設置されたらしいな。他には?」

 「反物質、プラズマ電池、ディフレクター、硬質斥力シールド、慣性制御装置が実用化可能状態です」

 「は、反物質?!」

 「物質と対消滅すると地球が無くなりますが、制御装置の中の強力な電磁界に封じてありました」

 「ふむ…」

 桜田さんは考え込んだ。『我々に何が出来るか?』が大問題なのである。



ヌコ星人の侵略【29】

 桜田さんは、いや、俺も佐山も希望を失ってはいけない。そこで鼓舞する事にした。

 「日本は歴史上他国に侵略された事がありません。太平洋戦争後の一時期はアメリカの支配下にありましたが、短期間で主権を返還されました。その間に、憲法は書き換えられ、日本人は『悪人』のレッテルが貼られ、東京裁判という連合国主導のリンチで我が国の英雄を『戦犯』としました。この影響は70年近くも他国の搾取を受ける結果となりました。桜田さんが首相になり、竹島、北方領土、尖閣諸島を武力を背景に奪還し、新憲法を制定し、発布し、やっと本来の日本となったのです。主権を一時的に奪われただけでこれだけの被害が出ました。二度と主権が奪われてはなりません。なのにヌコ星人は圧倒的武力、科学力を誇示し、日本を無条件降伏させました。現在、日本の主権はヌコ星人が保持しています。ヌコが幾ら紳士的で、友愛の精神があり、戦闘を行わなくても侵略は侵略です。我々は、断固として主権を奪還し、ヌコ星人を日本から一掃しなければなりません」

 桜田さんと佐山さんが猛烈な拍手してくれた。そう、これが俺の仕事なのだ。



ヌコ星人の侵略【30】

 「それで、どうやってヌコと戦うんだ?」

 と桜田さん。

 「戦闘は無意味でしょう。ヌコは個人用シールドみたいなもので守られていますし、毒物も効きません。…桜田さん」

 「なんだ?」

 「ヌコの母艦に、ヌコは何人搭乗していたか分かります?」

 「吉方さんから聞いた。2億人ぐらいだそうだ」

 「2億…。ヌコの最終目的は移住でしょうか?」

 「母星が寿命を向かえて爆発し、ヌコ達は宇宙を彷徨い、地球を見つけ、日本人をパートナーとして選んだ、と言っていた」

 「テレビで観ました。もしヌコ達全員が日本に移住するとしたら、小型の宇宙船と民家を超空間ゲートで繋げて住む、という方法は無理だと思います」

 「ヌコは超高層ビルや広大な地下街や宇宙船を使った空中都市を作るだろうし、自然や環境保護を行うだろう。なにせ水で車が走るようになるしな」

 「不自然ですよね。こんな狭い国土に人間とヌコ、合わせて3億8千万人が住むのは」

 「そうだな…」

 桜田さんは顔を曇らせて言った。その時、自衛隊調査部に通じるドアが開いた。



ヌコ星人の侵略4 《31~40》に 続く

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