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Nobuyuki Takezawa

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ヌコ星人の侵略 1~10

ヌコ星人の侵略

【1】~【10】副題・ヌコ星人がやって来た! その1

《登場人物》

・西岡時司(にしおか ときじ)主人公。男性。32歳。

・西岡碧(にしおか みどり)時司の奥さん。女性。30歳。

・花井彦兵衛(はない ひこべえ)ヌコ星人。アメショー似。男性。35歳。
身長は165センチ。ヌコ星人の成人男性の平均値。女性は160センチぐらい。

・花井美弥子(はない みやこ)ヌコ星人。女性。白猫似。彦兵衛の妻。33歳。

・花井健一(はない けんいち)ヌコ星人。アメショー似。男性。10歳。

・花井英子(はない えいこ)ヌコ星人。白猫似。女性。8歳。

・桜田史郎(さくらだ しろう)人間。総理大臣。62歳。

・吉方ハリマオ(よしかた はりまお)ヌコ星人。オレンジのキジ猫似。ヌコ星人の代表。54歳。



ヌコ星人の侵略【1】

 ピンポーンと呼び鈴が鳴った。時間は朝の8時。場所は俺の自宅マンション。妻の碧はキッチンで朝食の支度をしている。俺はリビングで、コーヒーを飲みながらタブレットでニュースに目を通していた。既に着替えは済ませている。

 「あなたー、見てきてー」

 と碧の声がキッチンから聞こえてきた。こんな時間に来るって何者だろう? 

 俺は玄関に行き、ドアチャイムの外が映し出されるカメラのスイッチを入れた。誰も居ない。そうだった。チャイムの位置はドアの横だ。だからドアの前に立たれると見えないのだ。

 話すのが面倒なので鍵とチェーンを外してドアを開けた。

 「おはようございますにゃ」

 とマンションの廊下に立っている…、なんだこいつ?

 「どどど、どなた様ですか?」

 と俺は言った。多少、いや、俺はかなり動揺しているようだ。

 「ヌコの花井彦兵衛ですにゃ」

 とそいつは言った。オーバーオールを着て、スニーカーを履いていて、二本足で立っている猫が。



ヌコ星人の侵略【2】

 「今日からお世話になるにゃ」

 と猫が言った。

 「えー、あのー、そのー」

 俺は言葉を出そうとしたけど、心臓がバクバクしてきて、何も考えられなくなっている。

 「パニクっているにゃ」

 と猫が言い、俺の首に何かの機械のような物を押し付けた。プシュ、と音がした。

 「お? 落ち着いた」

 と俺。

 「高圧浸透式注射器で精神安定剤を打ったにゃ」

 「はあ」

 「中に入って話すにゃ」

 「あ、はい。どうぞ」

 と俺。すると猫が玄関でスニーカーを脱いで部屋に上がった。この時になって、猫が一匹、いや一人か、ではない事が分かった。全部で四人、いや四匹か、だ。

 「どなたー?」

 と碧がキッチンからやってきて言った。そして目を見開き、金魚のように口をパクパクさせた。

 すると猫が素早く碧の首になんたらの注射をした。碧は一瞬でホッとした表情になった。

 「安心するにゃ。ホームステイしにきただけにゃ」

 と猫。そうか、ホームステイか、なるほど。…なにを納得してるんだ、俺?



ヌコ星人の侵略【3】

 「改めて自己紹介するにゃ。ボクは花井彦兵衛ですにゃ。こっちは家内の美弥子、息子の健一、娘の英子ですにゃ」

 と猫、彦兵衛さんが言った。彦兵衛さんは猫の品種に例えるとアメリカン・ショートヘアーだ。奥さんは白猫、息子はお父さんに、娘はお母さんにそっくりだ。みんなオーバーオールを着ている。

 「西岡時司です」

 と俺は自己紹介をした。妻の碧も。そしてリビングのソファに案内した。…気分は落ち着いている。だけど自分が何を見て、何をしているのかあまり理解していない。

 「日本はヌコに侵略されてしまったにゃ」

 と彦兵衛さん。

 「ぬこ?」

 「ボク達の事にゃ。ヌコ球に住んでるヌコにゃ」

 「宇宙人ですか?」

 「そうにゃ。人間も宇宙人にゃよ」

 「日本を侵略したんですか?」

 「そうにゃ」

 「地球ではなく?」

 「惑星丸ごと侵略みたいな面倒はしないにゃ。もうテレビで首相の記者会見やってると思うにゃ」

 俺はリモコンでテレビをつけた。


ヌコ星人の侵略【4】

 「おはようございます。首相の桜田です。えー、みなさんお忙しいでしょうけど、大変重要な発表がございます。

 日本はですね、ヌコ星人という宇宙人に侵略されました。ええ、侵略されちゃったんです。侵略された時間は、昨日の夜の10時頃です。こちらに居られるのがヌコ星人の代表の吉方ハリマオさんです。はい、騒がない騒がない。

 突然出て来た? ええ、ヌコ星人は光学迷彩が使えますので。原理は教えてくれませんから分かりません。

 それでですね、侵略されたんですが、武力衝突は回避しました。と言いますか、私を含めた政府関係者がヌコ星人の超巨大宇宙船に連れて行かれまして、あ、連れて行かれたと言っても強制ではなくて、紳士的に案内されました。それで、ヌコ星人の科学力と軍事力を見まして、こりゃかなわん、と判断した次第でございます。ですので無条件降伏致しました。

 本日より、ヌコ星人が日本の支配者となります。はい、騒がない騒がない」


ヌコ星人の侵略【5】

 桜田首相の記者会見は、ヌコ星人から提供された動画を交えて30分程続いた。動画は、月軌道上にあるヌコ星人の超巨大宇宙船の図解や、既に日本の空を飛び回っている大小様々な宇宙船が中心だった。また、地球の全軍事力を総動員しても落とせない事が説明された。

 「ワープドライブに慣性制御装置か…。恒星間宇宙船に最低限必要なものだな」

 と俺は桜田首相の記者会見を見て呟いた。

 「他に必要な技術は分かるかにゃ?」

 と彦兵衛さん。

 「原子変換装置。最低でも分子変換装置がないと大量の人員を輸送できない」

 「流石、西岡さんですにゃ」

 「私の仕事、知ってますね?」

 「はいにゃ。Self-Defense Forces Secret Investigation Department にお勤めにゃ」

 彦兵衛さんは流暢な英語で言った。

 「え? あなた、自衛隊じゃなくてデパートに勤めていたの?」

 と碧。俺は『試食コーナーで』とトボけかけてやめた。後が怖い。




ヌコ星人の侵略【6】

 「侵略されたのは分かりましたけど、その他諸々が謎なんですが?」

 と俺は彦兵衛さんに言った。碧は『お飲み物は何を?』と美弥子さんに訊いた。美弥子さんは『何でも構いませんわ』と言って微笑んだ。なかなか色っぽいヌコ星人女性である。

 「じゃあ簡単に説明するにゃ」

 と彦兵衛さん。

 「ボクは文化調査員なのにゃ。だから西岡さんと一緒に暮らして文化を学ぶのにゃ。家族も人間に興味があるって言うから連れてきたにゃ。それと花井彦兵衛という名前は、ヌコの言葉の発音は人間には聞き取れないので適当にそう名乗ってるだけなのにゃ。この服装は、人間に警戒されない為に着ているにゃ。普段は身体に合った機能的な服を着てるにゃ」

 「とすると、スキャン技術をお持ちのようですね」

 「理解が早くて助かるにゃ」

 「日本を侵略する前に、来てましたね?」

 「当然なのにゃ」

 「私を選んだ理由は?」

 「にゃはは! 分かってるクセにー」

 俺は少し安堵した。ヌコ星人も万能ではないらしい。




ヌコ星人の侵略【7】

 「スキャンしただけでは分からない人間の文化や風習を、一緒に生活してレポートするのがボクの仕事にゃ」

 「電話していいですか?」

 「どうぞにゃ」

 俺は公務用のスマホで勤務先の番号を押した。花井さん一家は、碧が運んで来た紅茶を美味しそうに飲んでいる。
猫だから舌で飲むのかと思ったら人間のように飲んでいる。…カフェインって猫には毒じゃなかったっけ? 

 「西岡です。はい、観ました。花井さんというヌコ星人のご家族がホームステイされに来られました。文化調査員だそうです。はい、とても友好的です。想定外ですけど、親密型の接触でいいですか? はい、分かりました。それと何かあればこちらから連絡します。以上です」

 俺は通話を終えて、カップの紅茶を飲み干した。

 「さて、これからどうします?」

 「部屋を借りるにゃ」

 花井さん一家は俺が案内した客間に入って行った。この時、みんな尻尾があるのが分かった。なんか可愛い。



ヌコ星人の侵略【8】

 「どわっ!」

 俺は驚いた。客間がメカニカルで広い円形のリビングみたいになっているのだ。

 「超空間ゲートをドアに取り付けたにゃ」

 「は? ワープ装置ですか?」

 「簡易型なのにゃ。繋げられるのは10キロメートル間ぐらいにゃ」

 「はあ…。あの、ここはどこです?」

 「見るにゃ」

 彦兵衛さんはこの部屋に備え付けられているドラム缶のような装置を操作した。すると空中に何かが映し出された。

 「ホログラムですか…。え? ここって…?」

 「西岡さんのマンションの120メートル上だにゃ」

 「テレビに出てた小型の、バームクーヘンの輪切りみたいな宇宙船の中、ですか?」

 「そうにゃ。ヌコ球の一般家庭と同じように過ごせるにゃ。主に家族持ちのヌコが惑星探査や文化交流で使うにゃ。慣性制御装置で座標軸を固定してるにゃ」

 「おー…」

 多分、桜田首相や政府関係者もこんな体験をさせられたのだろう。こりゃ太刀打ちする気も起こらないよなあ。俺は桜田首相に同情した。



ヌコ星人の侵略【9】

 「ところで、またその他諸々、訊いていいですか?」

 俺は自分のマンションのリビングで彦兵衛さんに言った。宇宙船の中で、120メートル下の映像を見せられて気分が悪くなったからだ。自分が高所恐怖症なんだとこの時に分かった。

 「訊くにゃ」

 「日本語が上手ですね」

 「トランスレーターを使ってるにゃ」

 「翻訳機ですか? それにしてはタイムラグが無いですね」

 「大きさは薬のカプセルぐらいで、耳の奥にセットするにゃ。瞬時に言語解析して脳神経に伝えて言葉にするにゃ」

 「はあ…。食べ物や飲み物でダメなのはありますか?」

 「無いにゃ。マグロが好きにゃ」

 「あの、猫と何か関係あります?」

 「スキャンしてビックリしたにゃ。ヌコとよく似ているにゃ。偶然の一致にゃ」

 「『にゃ』って語尾は?」

 「敵意が無い事を表しているにゃ。と言っても、使ってるヌコは少ないにゃ」

 彦兵衛さんはのんびりした口調で話す。でも俺は、何か引っ掛かるものを感じていた。



ヌコ星人の侵略【10】

 「あの、侵略されたのは理解しましたけど、実際にどうなるんですか?」

 「間接統治なので、政府に指示するだけにゃ」

 「どんな指示ですか?」

 「ヌコに危害を加えない、ヌコの命令に従う、基本的にこれだけにゃよ」

 「最初のはやろうとしても出来ないでしょ?」

 「今だったら出来ると思っているにゃ?」

 「お茶、飲みましたよね」

 「カフェインは毒にならないにゃ。ヌコにとっての毒物は分かるにゃよ」

 「どうやって?」

 「これにゃ」

 彦兵衛さんは俺に手首を見せた。銀色のブレスレットを填めている。

 「個人用保護装置なのにゃ。自動的にスキャンして、教えてくれるにゃ」

 どの様に教えてくれるのか? と、訊こうと思ったけどやめた。これでは一日中質問してばかりになってしまう。でも一つだけ訊いておかなければならない事がある。

 「何の為の日本侵略ですか?」

 と俺は訊いた。

 「友好関係を築く為にゃ」

 「はー?!」

 もう大抵の事では驚かないと思っていたのに、俺はソファからずり落ちそうになった。



ヌコ星人の侵略11~20へ続く


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