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Nobuyuki Takezawa

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ミス・ジェントルマン

ミス・ジェントルマン 

【ミス・ジェントルマン 冒頭文】


 「うわーっ!」

 とあたしはベッドの上で叫んだ。五つある目覚まし時計の針が全て八時三十五分を指していたからだ。寝る前は確かに七時三十分に目覚ましをセットしたはずなのにぃ。

 「ま、寝坊は寝坊よ。それっ!」

 あたしは飛び起きてブレザーの学生服に着替えた。授業の準備は昨日の夜にした。玄関で鞄を持って、朝食抜きで家を出ようとしたら腕時計が無い。あれ? 腕時計して寝なかったっけ? 適当に探してなかったらそのまま家を出るつもりで探した。

 諦めようと思って、玄関のドアを開けた。すると奇妙な腕時計のような物が玄関前に置いてあった。そして封筒が添えてある。『兄より、愛しの妹へ』と書かれてある。あたしは中の便箋を読んだ。

 『これは腕時計である。使うがよい』

 …少しの間呆然としてしまった。あたしが寝ている間に腕時計を外し、その代わりにこれを付けろってか。何を考えているのか、うちの兄は。

 「お兄ちゃーん!」

 と家の中に向かって大声を出したが、返事が無かった。仕方ないので封筒と一緒にあった腕時計…、なんだこりゃ? 大きい。男物にしても大きい。アルミの削り出しのように見えるけどアルミではなさそうだ。文字盤には緑色で時刻が表示されている。しかもまるで字が浮いているように見える。他にもボタンが幾つもある。

 「もう、仕方ないなあ」

 あたしはその腕時計のような物を左手首にはめた。重いだろうと思っていたのに、全く重さを感じない。変な腕時計だ。

 「では、行って参ります…」

 あたしは独りそう言って家を出た。そしてバスに乗ろうと走って駅前の広場を突っ切る時だった。突然夜になった。

 「え? え? え? なにこれ?」

 あたしはびっくりして辺りを見渡した。暗い。夜だ。月も出ている…。いや、あれは太陽だ。街灯がついてない。どうなっているんだろう?

 「平純子だな」

 と声がした。声のした方を向く。中年のサラリーマンが一人、こっちに靴音を響かせて歩いて来ている。

 「だ、誰?!」

 「誰でもいい。その腕時計を渡しなさい」

 「は?」

 「二度も言わせるな」

 と男はいい、あたしを殴った。

 「痛ったーい! なにすんのよっ!」

 「だから腕時計を渡せと言っている」

 「こんなもの、あげるわよ!」

 あたしは腕時計を外そうとした。…外れない。どうしても外れない。

 「んーしょ! んーしょ! 外れないー!」

 「…私が外してやろう」

 男はナイフを取り出して言った。

 「外してやろって…、腕ごとー!?」

 「その通りだ」

 「…そうはさせないわよ。かかって来なさい」

 「ほう」

 男はケータイぐらいの大きさのスマートフォンのような機械を取り出した。

 「平純子、高校二年生、合気道初段、兄である光一の妹、両親は交通事故で一昨年死去」

 「な、なんなのそれ?」

 「貴様のデータだ。ふふふ」

 「何がおかしいの!」

 「合気道初段ぐらいで、私と戦おうとしているのか? わっはっはっ!」

 「うるさい!」

 その時だった。腕時計から『ぴろろろぴーん』と音がした。

 『純子! 油断するな!』

 兄、光一の声が腕時計から聞こえた。あたしは思わず『え?』と言った。

 「もらった」

 男がナイフを使って襲い掛かってきた。あたしはそれを軽くかわした。

 「こいつ!」

 男はこちらに向き直った。

 「名目上は合気道初段だけど、空手も柔道もやってまーす。あんたなんかに負けるもんですか」

 「気の強い女だ。ではこれはどうかな?」

 男は『うおおおお!』と叫んだ。そして服がさけ、皮が剥がれた。男の中から化け物が現れた。

 蟷螂みたいな顔、手首から生えた鎌、太い棘の生えた腕、筋肉もりもりの肩、その他の部分はごつい昆虫みたいだ。

 「ひーっ!」

 あたしは身動きが出来なくなった。有り得ないし、化け物過ぎるし。どうしろって言うのよ。

 『純子! 純子!』

 「へ? なに?」

 『腕時計だ』

 「あ! お兄ちゃん! なんなのよー、これ!」

 『叫べ! メタモル・フォーゼ、ジェントルマン』

 「へ? なに言ってるのよ!?」

 『叫べ! メタモル・フォーゼ、ジェントルマン。だ!』

 「わわわ、迫ってくるーっ! ええい! メタモル・フォーゼ、ジェントルマン!」

 あたしは無駄だと思ったけど叫んだ。すると腕時計が光り出し『セット・ジェントル・スーツ』と機械的な声が聞こえた。あたしの周囲が渦を巻き始め、私は何かに包まれた。それはほんの数秒だった。



ミス・ジェントルマン

戦え! 平純子! 戦え! ミス・ジェントルマン!

無責任な兄をぶっ飛ばせ! 違うか。


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