水冷方式
作品解説とレビュー - 2016年07月28日 (木)
何度も読み返して、その度に自分では気付かなかった要素に目が止まる。
「まず用意しなければならないのが鉛管である。」と森本俊樹は言う。
上がり続ける体温の制御に、鉛管を身体に巻いて、水を通して、ラジエーターで冷やそうとする。
この装置が水冷方式なのだが、自作のは耐久性も無く、性能も悪くて早くも頓挫する。
こいうのがアイデアとかネタなんだけど、森本俊樹の『めげない根性』に圧倒されてしまう。
自分が書いたんだけど。
生きるとは生活するという事だ。森本はどんな状況になっても生活を確保して生きようともがく。
救いは仕事と仲間だ。
書く前に用意していたラストシーンは『産業廃棄物の山の間に出来た水溜まりで、
仕事をしながら燃え尽きる』ような感じだが、作者の思惑を越えて、書式さえも利用して、
森本俊樹は小説世界を飛び越えて行く。参りましたです、森本さん。
【DATA】 96,002文字 原稿用紙換算・241枚
- 関連記事