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Nobuyuki Takezawa

Author:Nobuyuki Takezawa
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違う!

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【違う・本文抜粋】


 「目覚めたかね?」

 と声がした。見ると、大きな木製の机の向うに木原院長が居た。椅子に座って何かの書類かカルテに目を通していたようだ。僕はソファに横たわり、毛布を掛けられていた。

 「あ、どうも…」

 僕は身体を起こしてソファに座り直した。何だか懐かしい。ここでよく本を読んだり、お茶やコーヒーを飲んで過ごした記憶が蘇る。

 「気分はどうだね?」

 と木原院長。改めて見ると、覚えている顔より少し老けている。

 「良くなりました。スッキリした感じです」

 「結構強めの鎮静剤を打ったからね」

 「僕は一体…。あ、それよりお久しぶりです。挨拶に来よう来ようと思っていたんですが、仕事が忙しくて…」

 「便りの無いのは元気な証拠、と言うじゃないか。ところで、何かあったのかね?」

 「はあ…」

 「ここに来た時はショック症状が出てたんだよ。もし頭を打ったりしていたら精密検査をした方がいい。外傷は認められないがね」

 「あのー…。変な話なんですけど、夢を見ただけなんです」

 「夢?」

 「コンクリートの通路の突き当たりに金庫があって、その金庫を開けようとする夢で…。それで今朝は金庫に触ったんです。その感触を覚えているんですよ、リアルに」

 「変わった夢だね」

 「ええ。何ヶ月か前から見るようになって、最近は毎日のように見てしまうんです。それで、凄く罪悪感があるんです。夢の中だけじゃなくて、起きてる時もそれが続くんです」

 「ふむ…」

 木原院長は腕組をして言った。そして机の引出しから仁丹を取り出して口に入れた。

 「煙草をやめたら仁丹中毒になってね。それはさておき、リアルな夢を見ただけであんな事になったの?」

 「分かりません。だから来たんですけど」

 「そうだよねえ…」

 「あの夢の意味って何ですか?」

 「長年精神科医をやっているが、夢に決まった答えは無い、と言うのが私の見解だ。合理的説明はある程度付けられるけど、それとてそうだと決まっているわけではない。信也君の見た夢でも性的になら簡単に解釈可能だ」

 「性的、ですか?」

 「コンクリートの通路は膣、金庫は見たり触ってはいけない物。つまり女性器の象徴だ。信也君は潔癖症で、女性恐怖症を抱えていた。が、好きな女の人が出来たり、性に興味を持つようになってその葛藤が夢となった。とかね」

 「はあ…」

 「こんな形の説明を切り口にして、カウンセリングと投薬治療で改善する場合が多い」

 「心当たりが全くありません」

 「そうだと思った。信也君は中学生の頃から彼女が居たしねえ」

 「…それに、あの罪悪感は異常です」

 「心が身体に及ぼす影響は想像以上に大きい。しかし、今日の信也君の様な例は見た事が無い」

 「どうにか出来ませんか?」

 「取り敢えず、応急処置として投薬治療をしよう。精神安定剤でその罪悪感を和らげて、夢を見ないように強めの睡眠薬を出す。それと同時にカウンセリングを始める。信也君の場合は催眠暗示が効果があるように思える」

 「催眠暗示って、僕が子供の頃から中学一年の頃までやっていたあれですか?」

 「ま、まあ、そんな感じだな。あれは不安を和らげる為に続けていたが、今度は信也君の罪悪感がどこから出てくるのかを突き止めて、根本的に対処しようと思う。早速明日から始めよう。あ、仕事は大丈夫かね?」

 「急病を理由に有給を取ります。大分溜まってたので。それと、診断書なんですが、出来ればですね…」

 「分かってるよ。内科の知り合いに急性胃腸炎という事にして出してもらう。それでいいかね?」

 「ありがとうございます」

 僕はそう言って安堵の溜息を吐いた。木原院長だったら大丈夫だ。そう思うだけでホッとする。



違う!

夢の中で罪悪感を覚えた事はありますか?

もしかすると、夢の中に開かない金庫が出て来るかも?


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