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Nobuyuki Takezawa

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ステアの日3

ステアの日3表紙改

【ステアの日・本文抜粋】

 どうすればいいのだろう? どうすればいいのだろう? あたしは街を歩きながら考えていた。

 クレープの屋台があったので一つ注文して食べてみた。美味しい。女吸血鬼をしている時に食べた弁当は分量も多くあまり消化出来ない物が多かったので、ダイエットしていると言って少ししか食べなかった。でもクレープなら大丈夫だと分かった。

 あたしはクレープを食べつつ、歩きながら考え続けた。どうすればいいのだろう?
 花屋があった。目もくらむ程の美しい沢山の花。三つぐらいの女の子がしゃがんで花をいじっている。母親は店の人とお喋りをしている。

 あたしは疲れていたせいもあって、その女の子の横にしゃがんだ。そして女の子の頭を撫でた。さらさらの髪の毛。赤い頬。つぶらな瞳…。あたしの胸の奥から奇妙な感情が沸き上がってきた。なんだろ、この感覚?

 あたしはずっと女の子を見ていた。そして女の子が薔薇に手を出した。薔薇には棘がある。あたしは女の子の腕を握って、薔薇を掴まないようにした。

 「…ううう、ぎゃーっ!」

 と女の子は火の付いたように泣き出した。あたしは慌てて立ち上がった。その時に『ボキボキボキッ』という音が女の子を握っている手の中から聞こえ、何かが粉々に砕ける感触がした。

 「どうしたのっ!?」

 母親が女の子とあたしを見て叫んだ。あたしは手を離した。女の子は地面に落ちて更に酷く泣いた。

 母親は必至になって女の子の名前を呼んだ。そしてあたしに向かって『何をするのっ! 誰か、誰かこの女を捕まえてっ!』と叫んだ。

 あたしは狼狽した。そしてその場から逃げた。必至になって逃げた。そして塀を飛び越えた。それを見た母親は『に、人間じゃないわっ! アンドロイドよっ!』とまた叫んだ。

 外見では絶対分からないはずなのに、どうしてあたしがアンドロイドだと分かったのだろう。あ、走る速度とジャンプ力だ。

 アンドロイドは人間より力も敏捷性も遙に高い。それをすっかり忘れて無我夢中で逃げたからだ。

 ゆっくりと走る。もうあの花屋からかなり遠くに来た。人気も無い。小さな神社があったので境内にはいって縁石に腰掛けた。

 涙が頬を伝わっている。悲しい。凄く悲しい。どうしたらこの悲しみが止まるの?

 怪我なんかさせたくなかった。ただ薔薇の棘に触れさせないようにしたかっただけなのに…。

 あたしなんかこのまま、悲しみに溺れて死んでしまえばいいと思った。生きている価値なんか無い。

 あたしは縁石に座って、ずーっとその場に居た。一日が経った。二日が経った。三日目にあたしの本能が食物を求めた。

 あたしはそれを無視した。四日が経った。五日が経った。あたしは鞄の中のクッキーと、神社の窪んだ石に溜まった雨水を飲んだ。そして泣いた。



ステアの日3

悲しみが大きいほど、喜びも大きい。

マリスは居場所を見つけられるのだろうか…。


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