ガーディアンズ
SF長編小説 - 2016年07月16日 (土)

【ガーディアンズ・本文抜粋】
場所はセンナー国を北に二十キロほど行った場所にある草原だ。俺はユーロスに革鎧を着させ、斧を持たせて約束の時間には到着した。ガントとアレッドは俺の後ろで人間の拳より一回り大きいぐらいの鉄球を持って待機している。
「誰だお前は?」
と向かいから来た男が言った。猫背で目が出ていて歯も出ている。黒い革のツナギを着ていて、宝飾品で飾り立てている。そして男の後ろにはユーロスより少し大きいヒヒに似た凶悪そうなガードが付いて来ていた。
「バンザ、という」
と俺は言った。
「バンザ? どっかで聞いたな…。ん? お前、ガードマスターだな。ま、いいや、貢物は持って来たんだろうな?」
「センナー国はいい国だ。豊かで、活気に満ち溢れている。リスキ、センナー国の一員になるつもりはないか?」
「へ? どははははっ! 馬鹿かお前、だから俺様のようなガードマスターが好き勝手出来るんだ。こんな辺境の土地に金をがっぽり持った国があるんだ。そうだ、お前もその気になれば億万長者だぞ」
「悪党の誘いか…。胸糞悪い」
「なんだと!」
「二度とセンナーに手を出さず、さらった娘を返せば命だけは助けてやる」
「ひゃははははっ! 殺してやるよ、お前も、その牛のガードも!」
「ユーロス! 行け!」
「ガンシラ! 殺せ!」
俺とリスキは同時に叫んだ。久々のガードマスター同士の戦いだ。
スピードはヒヒ型ガード、ガンシラの方が速い。ガンシラはユーロスの背後に回り、羽交い絞めにした。
「電撃だあ!」
とリスキが叫んだ。ガンシラの真っ白な毛が逆立ち猛烈な電撃を放った。ユーロスは余りのショックで硬直してしまった。
「喉笛を食い千切れ!」
とリスキ。俺はリスキがガードに命令を出している間に走り、リスキに接近して拳銃を抜き、右肩を撃ち抜いた。
「ぐわっ!」
リスキは撃たれた衝撃で倒れた。そしてガンシラの電撃も止んだ。これがガードマスターの弱点だ。感覚がガードに反映される為にマスターに何か予想外の事があると動けなくなってしまうのだ。
「ガント! 鉄球をガンシラに!」
と俺は後方のガントに言った。アレッドが鉄球を投げた。それは凄い勢いでガンシラに命中した。かなりダメージを与えたはずだ。三球目でガンシラはリスキを置いてよろめきながら逃げ出した。
「ユーロス!」
ユーロスに斧でガンシラを切り刻むように心で思う。ユーロスは軽く頷いてガンシラを追い、斧を振り上げた。
ズシャッ! とガードの肉が切れ、砕ける音がした。そして緑色の血が辺りに飛び散った。だが、これ位でガードは死なない。俺は脳天と心臓を潰すよう命じた。
「ひいっ!」
リスキが尻餅をつき、撃たれた肩を抑えて必死に逃げようとしていた。俺は拳銃を収め、剣を向けた。
「バンザ、許してやれ」
と走ってきたガントが言った。アレッドも付いて来ている。
「ああ。さらった娘達を返してもらわないとな。さあ、お前のねぐらまで案内しろ」
「こ、殺さないよな」
とリスキ。
「案内しないのなら殺す」
「分かった…」
リスキは観念したようだ。ガントはリスキの傷を布で抑えて止血している。俺はユーロスを呼んだ。
ガーディアンズ
時は500年後の未来、所は大坂。
滅び掛けた地球は復興の兆しを見せる…。
壮絶なガードバトルが君を魅了する! 興奮するぜ!

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