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Nobuyuki Takezawa

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T氏の話Vol・1

T氏の話Vol1

【T氏の話Vol・1『呪いのDVD』より・本文抜粋】


 「そいつは面白いですなあ。わはははは」

 とドイツビールの店の隅でT氏が笑った。T氏と私は真向かいに腰掛けている。ビールの肴はいつもの長いソーセージだ。こんなのばっかり食べてると絶対にビール腹になる。と言うか、既になっている。

 「幽霊サングラスも役に立つもんですなあ。預けていて正解だったみたいですね。それにしても幽霊犬のペットねえ。いやー、Yさんも考えましたねー。手が掛からなくていいでしょ?」

 とT氏は陶器製の大ジョッキをグイッと呷って言った。

 「まあそうですね」

 私はソーセージをかじって言った。

 「また面白い事があったら教えて下さいよ」

 とT氏。

 「…ビールを飲んで世間話をしに来たわけじゃないでしょ?」

 「うーむ、それもいいかなあと思いませんか?」

 「まあ別にいいですけど」

 と私は少々不満げに言った。でもたまに知り合いと酒を飲むのは悪くない。

 「ふふふ。今日もブツは持ってきてるんですけどね」

 T氏は隣の空いている席の上に置いてあった革製の鞄から、透明のケースに入ったディスクを取り出した。どうやらDVDらしい。

 「なんです、それ?」

 「呪いのDVDです」

 「呪いのDVDですか」

 「ええ。呪いのDVDです」

 「なんとまあ、呪いのDVDとは」

 「凄いでしょ? 呪いのDVDですよー」

 「あはははは」

 「わはははは」

 私達は酔いがまわっていたせいか大笑いしてしまった。

 「それは映像ソフトですか?」

 と私はT氏に訊いた。

 「ええ。とある大学生がハンディDVDカメラで撮影したものです」

 「それを観ると呪われるんですか?」

 「呪われるんですよー」

 「あはははは」

 「わはははは」

 「どこで手に入れたんですか?」

 「大学のOB会があって、そこで後輩がとんでもない映像を撮影したって事を誰かが言って、方々手を回して手に入れたんです」

 「…観ました?」

 「…観てません」

 「どうしてですか?」

 「呪われたくないから」

 「あははははは」

 「わははははは」

 「それを私に観ろと?」

 「はい。レポートして欲しいんですけど」

 「自分で観ればいいじゃないですか」

 「だって、呪われたくないじゃないですか。わはははは」

 とT氏は笑ったが、私は笑わなかった。

 「からかってますね」

 「いいえとんでもない」

 「猿の手も幽霊レンズもどうにかこうにか科学的仮説は立てられますけど、観たら呪われるDVDなんて有り得ないです」

 「んー、でもこの映像を撮影した本人が発狂して入院したって言う事実があるんだけどなあ」

 「え? ホントですか?」

 「本当です」

 「生きているんですか、その人」

 「生きています」

 「住所とか分かります?」

 「分かりますよ」

 T氏は鞄からメモを取り出した。そしてページを破って私に渡した。

 「それが本人の住所です。このDVD、実は本人から直接貰ったものなんですよ」

 「へー」

 私はメモに書いてある住所と名前と勤務先を読みながら呟いた。住所はE市。他県であるがそう遠くない。名前はS。男性だ。小さなIT関連企業でコンピューターのプログラマーをしているらしい。

 「このSという人は今はどうなっているんですか?」

 と私。

 「普通でしたね」

 「でも発狂したんでしょ?」

 「一時的なものだったみたいですよ」

 「何が起こったんですか?」

 「それはご自分で確認した方がいいんじゃないですか」

 「うーむ」

 「嫌なら別にいいんですよ。他の人に頼みますし」

 とT氏は大ジョッキに残ったビールを飲み干して言った。

 出所のはっきりした物で、呪いにかかって発狂したという本人に直接会えるのなら調べてみたいと思った。私の予想ではイタズラか、ただ変な物が映っていてノイローゼになったかのどちらかである。



T氏の話Vol・1

T氏の話Vol・1には

 『猿の手活用法』

  『幽霊レンズと幽霊サングラス』

   『呪いのDVD』

    『魚種』

     『河童の田圃』


の五編を収録。読み応え抜群!


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